この作品、絵のタッチも好きだけどそれ以上にキャラの設定、展開が素晴らしいわ…。
4巻で主人公が関口さんとヤったシーン。個人的にここはあまり好かなかった。けど、この巻(5巻)の主人公が行橋さんとよりを戻すことを関口さんに伝えた後のシーン。ここがこの作品の一番好きなシーンであり、その際、先に述べた好かなかったシーンが逆に作品の1番好きなシーンを惹き立たせる重要な役割を担っていたと思う。
主人公は行橋さんとよりを戻すことを関口さんに伝えるのだが、彼女は軽く冗談を言って主人公の背中を押す。その後彼女は「悔しいなぁ…」と涙ながらに漏らす。このセリフに込められた思いは『単に主人公を堕とせなかった(虜に出来なかった)女としての自信に対する悔しさ』なのか、はたまた『主人公のことを振り向かせられなかった悔しさ』なのか…。自分は後者だと思う。きっかけは単なる好奇心かもしれない。けど、関口さんは途中から本気で主人公のことが好きだったと思う。でも、主人公が1番に好きなのは行橋さん。私(関口さん)はそのことは分かっていた。1番にはなれないことは。だからこそ本気でない素振りをずっと見せたり、そういった発言をしたりしていたのだと。それ故、主人公に行橋さんとよりを戻すことを言われた時も、軽口を叩いて背中を押し、好きだという本音は言えなかった…。そんな自分の不器用さに対する後悔と、主人公が自分を本気で見てくれることは無いという事実に対して出たセリフ。それがこの「悔しいなぁ…」なんだと思う。この作品において行橋さんは口下手な存在だけど、本当に口下手なのは関口さん、彼女なのかもしれない。
始めは主人公と行橋さん、2人の恋路を邪魔する存在のように思えた関口さんだったが、このシーンで彼女に対して読者側はシンパシーを得ることが出来たと思う。そういった意味でも、このシーンは大きな意味を持つと思う。
結局、主人公は行橋さんとよりを戻し、関口さんとは別れた。しかし、関口さんにも最終的には幸せになって欲しいし、そういった意味でもこの作品の続きが気になる。